させぼの歩き方≪佐世保のトレッキング・カヤッキング・サイクリング情報サイト:させぼエコステイ≫
トレッキング
ウォーキング
カヤッキング
平戸往還
サイクリング

山登りの楽しみ と 安全について

山登りの楽しみ と 安全について

末永直樹

社団法人日本山岳ガイド協会
認定登山ガイド
登山教室モルゲン主宰

 


私の登山は『月に35日雨が降る』と言われる屋久島からはじまりました。当然のごとく雨で、濡れた衣類のまま寒さに震え、避難小屋で、「着干し(濡れた衣服を脱がずに体温や日光で乾かすこと。)」という言葉を信じ辛い一夜を過ごしました。

綿の下着での着干し、このような失敗を重ねながら、一歩ずつ階段を登るように、登山レベルを上げてきました。厳冬期の屋久島単独登山を最後に山岳会へ入会しましたが、それまでは山岳書のみの情報で、単独もしくは友人との山行を続けてきました。その間に山に対する恐怖心は身についたようです。おかげで未組織単独で厳冬期の日本アルプスを登ることはありませんでした。

登山は今、中高年ブームといわれていますが、近年「山ガール」に代表される多くの若い登山者が増加しました。富士山で年間30万人超。屋久島の縄文杉で、年間10万人余。北アルプスの上高地でも多くの若者を見かけます。また、カラフルなウエアをまとい、佐世保近辺の山々を登る若者も見かけるようになりました。「レジャー白書2010」によると、09年の登山人口(年間1回でも登山)は推計1230万人といわれています。(前年比2.1倍に急増)

登山は楽しく、健康増進にも優れた活動ですが、その一方で、山岳という危険地帯に自らをさらけ出す危険な行為であるということも理解しておかなければなりません。街中での事故であれば119番通報をすればすむことですが、たとえ市内の低山であって、登山の場合は「①行き先告げず」、「②雨天」、「③単独」、「④一夜を山中で」、「⑤携帯の不通」、「⑥他の登山者なし」、「⑦足の骨折」これだけの条件がそろえば、真夏であっても疲労凍死の可能性が高くなります。経験者ほど危険を予測し、事前準備を行っています。それが登山の安全管理です。

①家族や友人に行き先を告げる⇨登山計画書作成

②晴天であっても、常に雨具を持参しておく⇨雨具の常時装備

③単独は多くの経験蓄積ができる一方、危険が大きい⇨客観的な自己分析

④下山時刻に余裕を持った行動⇨万が一に備えた野営具の携行

⑤携帯電話の特性を理解⇨街中を見下ろす位置での通話

⑥平日より休日、雨天時よりも晴天時⇨単独を避けグループでの登山

⑦日頃の体力強化、装備の充実⇨トレーニング実施と緊急医薬品の携行

前記の項目で最も有効な対策は、登山計画書を作成し、家族や友人に残すということです。主要な山岳地では届出用のポストや用紙が準備されていますが、多くの登山者は事前に作成した計画書を提出しています。

夏山シーズンに多くの登山者が集中する穂高連峰など主要な山岳地域では、毎週のように大きな遭難事故が発生しています。登山口の上高地には事故内容が掲示され、登山者に対して注意喚起と登山計画書の提出を求めていますが遭難者の多くが、計画書を作成提出していません。計画書の作成と提出は安全登山の第一歩です。佐世保市内の低山であっても「目的の山名と登山ルート」だけでも家族に残しておくように習慣つけましょう。

重要な登山技術の一つに読図があります。読図とは、地図から情報を読みとる事です。読図を習得するには、地形図と実際の地形を見比べる作業を繰り返し行うことが大切です。その反復から、はじめての山であっても「地形図から実際の地形」を「実際の地形から地形図」を想像できるようになります。道標があり読図の必要ない山であえて読図を行い、自らが判断した方角が道標と同じであることに喜びを感じ、この地道な作業を繰り返し反復した者のみが「地図・コンパス・高度計」さえあれば、登山道がない山でも登れる技術を身につけることができるのです。

佐世保の山で安全管理と読図を習得して日本アルプスを目指しましょう。