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烏帽子岳登山口から隠居岳を越えて宇土越まで

烏帽子岳登山口から隠居岳を越えて宇土越まで


 
No.1

烏帽子岳(えぼしだけ)〜隠居岳(かくいだけ)〜宇土越


取材日:2009.4.1

「気になっていたそこの山!」そんなちょっとした好奇心をくすぐられるような身近な山。佐世保市民にはおなじみの「烏帽子岳」と「隠居岳」。


深い森の山道を登っていく

3110368 市街地から登ることにすると登山口は山祇町だ。『山手黒髪線』の新道で切断されたコンクリートの壁が登山口になっている。その階段を上ると、霊園の上に沿った山道に出た。自然林が昔のままにあって、なんだか懐かしい気分になる。小学校の頃に汗を流しながら登った記憶が蘇ってくる。砂岩がゴロゴロした急傾斜の道だ。「このあたりは国見溶岩台地で、烏帽子岳は安山岩質。標高三百メートルぐらいまでは九十九島と同じ砂岩だよ」楽山会の平田佳邦さんが説明してくれる。平田さんは日本百名山をほとんど登った山歩きのベテランだ。木漏れ陽さえ通さない照葉樹の森が続く。東側から山頂に挑む。杉の植林が伐採され、最近まで見えなかった相浦谷が一望できた。杉を伐採して放置するだけだから、日本の植林事業は一体なんなのか、と考える。烏帽子岳山頂は360度のパノラマだ。眼下には市街と佐世保湾が広がる。俵ヶ浦半島を越えて九十九島も見える。山頂から下ると、『風と星の広場』と名付けられた草原で、周辺は西海国立公園となっている。一画に『美しき天然』の碑がある。田中穂積がこの自然の美しさをテーマに作曲したという。碑文の筆は作詞の武島羽衣によるもの。駐車場の隅には観測台があって、秋にはアカハラダカの渡りが見られる。

3110446 車の道ではなく、途中から自然林の中の小道を辿ることにした。思いがけず静かな山の道だ。やがて親子堤に出た。このあたりからは黒曜石の破片など縄文時代の遺物が出る。烏帽子岳の大地は、大昔は生活の場だったようだ。途中に『百年の森』があった。

烏帽子分校跡の前を通って満場越から隠居岳へと向かう。かつて牛がのんびりと姿を見せていた丘を登ると、やがて丸太作りの木場山展望台に着いた。ここからは黒髪町や早岐方面が望める。木場山の裾を通って隠居岳へと続く。アオモジやナンバンキブシの花房が春を告げている。日ごろ見過ごしている花や木が、やけに気になる不思議。

そして最後の傾斜を登ると、隠居岳に着いた。670mの緩やかな山頂だ。三川内や波佐見方面が望め、峰の向こうには虚空蔵山がかすんで見えた。

3110456 隠居岳から先は尾根伝いの下りとなる。シイ、カシ、タブ、ツバキなどの照葉樹林を歩く。新芽の匂いが胸を満たし、トレッキングシューズの裏に湿った土の感触を覚える。それだけなのになぜか楽しい。山水の溜まりにサンショウウオの卵を発見した。みんな子どものように喜んでいる。

柔らかな疲労感に包まれるころ、宇土越の登山口に着いた。約4時間のコースだった。

 

 


write:有限会社ライフ企画社・小川照郷

A

山祗町バス停から歩いて 5分ほどの所に登山口がある。

B

登山口からすぐ、山道となる。

C

急傾斜の登りをあえぎながら登っていく。

D

烏帽子岳山頂に西側から登る。背景には相浦谷が見える。

E

烏帽子岳山頂から望む佐世保市街。

F

重池(親子堤)あたりは、黒曜石などが発見され、縄文人の生活の場だった。

G

木場山の近くにある木造の展望所。日宇、黒髪は一望に。

H

満場越から隠居岳に向かう途中にある、古い道標。

I

隠居岳への急な登り坂。

J

隠居岳の山頂。三川内や有田方面が一望出来る。

K

隠居岳が宇土越に入る林の中の道。自然に包まれ た快適なトレッキングが楽しめる。

L

宇土越側の登山口。このルートでは県道53号線と交 わるここが終点

 

 

歩行時間:約4時間
歩行距離:約10km

標高推移
スタート地点:120m
烏帽子岳山頂:568m
隠居岳山頂:670m
宇土越:470m(ゴール)
最大高低差は550m

国土地理院1/25000 佐世保市南部・蔵宿

情報提供:楽山会 平田会長



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ナンバンキブシ

アオモジと同様3~4月に、まだ冬枯れの雑木林に薄黄色の下垂れした房状の花を咲かせる。かんざしのよだ。

アオモミジ

落葉小高木で3月ごろ春の訪れを告げてレモン色の花を咲かせる。よく似た木に「クロモジ」があるが、樹皮が緑色のためにその名がある。

スミレ

日本だけで90種 を越えるが、その 代表格。高さ7~ 11cm。横から見 た形が大工道具の 「墨入れ」に似て いるところから名 が付いた。

美しき天然

昭和30年、全国で18番目の国 立公園として『西海国立公園』が 誕生した。世界で初めての海の国 立公園である。それは九十九島の 美しさが認められたからだろう。 その自然の美をテーマにして、佐世保海兵団軍楽長の田中穂積 が、明治32年に作曲したのが『美しき天然』である。サーカスのジンタとして日本中に広がっていった。烏帽子岳の広場にある碑の字 は、作詞した武島羽衣のもの。

烏帽子岳山頂の神々

『佐世保富士』と呼ぶ人もいる烏帽子岳。溶岩台地を形成している。市街から最もよく見える山頂には、いくつもの神々が祀られて いる。古くは山岳信仰の山でもあ ったのだろう。 「猿田彦大神」は、高千穂に瓊瓊 杵尊(ニニギノミコト)を案内し た神様。開拓や旅の安全の神とし て信仰されている。

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