
烏帽子岳(えぼしだけ)〜隠居岳(かくいだけ)〜宇土越
取材日:2009.4.1
「気になっていたそこの山!」そんなちょっとした好奇心をくすぐられるような身近な山。佐世保市民にはおなじみの「烏帽子岳」と「隠居岳」。
深い森の山道を登っていく

車の道ではなく、途中から自然林の中の小道を辿ることにした。思いがけず静かな山の道だ。やがて親子堤に出た。このあたりからは黒曜石の破片など縄文時代の遺物が出る。烏帽子岳の大地は、大昔は生活の場だったようだ。途中に『百年の森』があった。
烏帽子分校跡の前を通って満場越から隠居岳へと向かう。かつて牛がのんびりと姿を見せていた丘を登ると、やがて丸太作りの木場山展望台に着いた。ここからは黒髪町や早岐方面が望める。木場山の裾を通って隠居岳へと続く。アオモジやナンバンキブシの花房が春を告げている。日ごろ見過ごしている花や木が、やけに気になる不思議。
そして最後の傾斜を登ると、隠居岳に着いた。670mの緩やかな山頂だ。三川内や波佐見方面が望め、峰の向こうには虚空蔵山がかすんで見えた。
隠居岳から先は尾根伝いの下りとなる。シイ、カシ、タブ、ツバキなどの照葉樹林を歩く。新芽の匂いが胸を満たし、トレッキングシューズの裏に湿った土の感触を覚える。それだけなのになぜか楽しい。山水の溜まりにサンショウウオの卵を発見した。みんな子どものように喜んでいる。
柔らかな疲労感に包まれるころ、宇土越の登山口に着いた。約4時間のコースだった。

A
山祗町バス停から歩いて 5分ほどの所に登山口がある。
B
登山口からすぐ、山道となる。
C
急傾斜の登りをあえぎながら登っていく。
D
烏帽子岳山頂に西側から登る。背景には相浦谷が見える。
E
烏帽子岳山頂から望む佐世保市街。
F
重池(親子堤)あたりは、黒曜石などが発見され、縄文人の生活の場だった。
G
木場山の近くにある木造の展望所。日宇、黒髪は一望に。
H
満場越から隠居岳に向かう途中にある、古い道標。
I
隠居岳への急な登り坂。
J
隠居岳の山頂。三川内や有田方面が一望出来る。
K
隠居岳が宇土越に入る林の中の道。自然に包まれ た快適なトレッキングが楽しめる。
L
宇土越側の登山口。このルートでは県道53号線と交 わるここが終点
歩行時間:約4時間
歩行距離:約10km
標高推移
スタート地点:120m
烏帽子岳山頂:568m
隠居岳山頂:670m
宇土越:470m(ゴール)
最大高低差は550m
国土地理院1/25000 佐世保市南部・蔵宿
情報提供:楽山会 平田会長
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